強さはDNAだけじゃない サニブラウンを変えた“脱昭和指導”
圧勝した100メートル決勝の時とは違い、強い雨が降る中で行われた今大会最終種目の男子200メートル決勝。サニブラウン・ハキーム(20)が20秒35(向かい風1.3メートル)で優勝し、40年ぶりとなる2度目の短距離2冠を達成した。
最後は苦しそうに歯を食いしばりながらゴールしたスプリンターは「疲労があった中でよく走り切った。世界選手権(9月・ドーハ)まで2カ月以上あるので米国に戻ってしっかり練習してもっと速くなる」とキッパリと語った。
サニブラウンの強さ、速さが際立った今大会の男子短距離。高校時代に100メートルなどで全国大会に出場した母親の遺伝子以上に、188センチの長身と長い手足、スピードはサッカー経験のある「ガーナ人の父のDNAが色濃く出ている」との声が少なくない。
運動生理学的に見ても、黒人選手は持久力に特化している遅筋より、瞬発的に大きな力を発揮できる速筋の割合が多いといわれている。
「足を引っ張り上げるときに使う陸上選手の腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)を比較しても、日本選手の倍もある。黒人選手が瞬発系競技で有利な体なのは確かですが」と言う旧ユーゴのナショナルスキーチームコーチだった平山昌弘氏(フィジカルトレーナー)は、サニブラウンの強さは西アフリカに位置するガーナ出身の父親のDNAだけが理由ではないと、こう続ける。