著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

「感染症との戦争」で愛国心を煽りたいトランプと大リーグ

公開日: 更新日:

 トランプが尊敬するロナルド・レーガンも、ソ連を「悪の帝国」と批判して冷戦を拡大し、最終的に後継のブッシュ政権におけるソ連の崩壊と冷戦の終結をもたらすことに成功したことは周知の通りだ。

■選手も観客も犠牲者を追悼

 大リーグもまた、「戦時下」の経験を積んでいる。

 第2次世界大戦中は、灯火管制によりナイトゲームの開催が困難になり、国内には戦争中の公式戦の中止を求める声も上がった。しかし、当時のコミッショナーのケネソー・マウンテン・ランディスがルーズベルトに公式戦の継続を求める嘆願書を送ったことで、大戦中も試合が継続されている。

 あるいは、米国史上最大の失敗のひとつにも数えられるベトナム戦争が激しさを増した1970年代初頭の大リーグの球場では、国旗掲揚や国歌斉唱に反発する声が絶えない中、公式戦が行われた。

「新型コロナ問題」では各スポーツがシーズンの延期や中止を行い、大リーグもシーズンの開幕を早くとも5月半ばまで延期している。公式戦を162試合行えるのか、ポストシーズンの日程はどうなるのか、あるいは6月のドラフトは通常通り行えるのか、といった問題は山積している。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…