コロナ禍を利用した「マイナーリーガー大量解雇」の背景
しかし、メディアがアイスホッケー(NHL)のマイナー最上位クラス(AHL)の選手の最低保障年俸は野球のマイナー最上位クラス(3A)の選手の4・3倍であることなどを引き合いに出してマイナー選手の惨状を報じたため、野球ファンの多くからMLBの冷酷なやり方に批判が出た。そのためMLBはマイナー選手の給与を上げざるを得なくなった。
■カネを生まないお荷物部門
もっとも、マンフレッドから見れば、マイナーリーグはカネを生まないお荷物部門でしかない。給料を上げる前に大幅削減を断行。2019年にはマイナー球団が約240球団あったが、20年には162に削減され、さらに21年には120まで減らされることになった。
その結果、22州からマイナー球団が消滅した。野球は米国の国技であり、長い間、地方文化の一翼を担ってきた。そのため地域の反発は強く、そうした声を受けて米国議会では昨年11月、106人の議員が連名でマンフレッドに再考を促す書簡を送付。当のコミッショナーは議会対策に多額の金を使ってきたことが功を奏し、反発を抑え切った。
大きな障害がなくなったことにより、現在はコロナ禍を都合よく利用してマイナーリーグで大量の首切りが進行しているのである。