巨人「桑田入閣」仰天人事の波紋 “ポスト原”さらに大混乱
「単なるコーチ補佐ではないとみるのが自然」
それだけに、今回の入閣は球界内でも「仰天人事」と驚かれているのだが、その驚きに拍車をかけたのが桑田コーチ補佐就任を原監督が要望したことだ。昨年末に自ら「非常に気になる後輩がいます」と桑田入閣を山口寿一オーナーに打診、オーナーの了解を得たうえで新年早々の1月5日に直接、桑田本人に就任を要請しているのだ。
恩讐を越えた背景には日本シリーズでの惨敗があるという。周知の通り、巨人は昨年の日本シリーズでソフトバンクに2年連続の4連敗という屈辱を味わった。悲願の日本一奪回には、根本からチームを立て直す必要があるというのが指揮官と球団の共通認識だ。盛んに訴えているDH制の導入もそうだが、OBの英知を結集して指導体制を改革しなければ、ソフトバンクとの差は埋まらない――。「それくらいの危機感を抱いている」とチーム関係者は言う。
この日、桑田コーチ補佐就任のリモート会見に同席した原監督も、こう言っていた。
「野球人として、人間力、生きざまに非常に興味がある。彼のすべてを知らないがために逆に興味がある。目的はチームを強くすること。大いに自分を出してもらいたい」
■堀内、高橋由での失敗を反省
前出の高橋氏が言う。
「単なる、コーチ補佐ではないとみるのが自然。当然、今季で3年契約が切れる原監督の後任候補という含みがあるでしょう。原監督もこの日の会見で、『ジャイアンツをつなげることがとても重要』と言ったと聞く。つまり、伝統の継承です。巨人監督はその有資格者に『生え抜きのエースか4番』という不文律があるゆえ、長嶋茂雄監督が復帰した93年から28年間で長嶋、原辰徳、堀内恒夫、高橋由伸のたった4人しかその座に就いていない。裏を返せば、人材難でもある。堀内、高橋は突然の就任で結果を残せなかった。球団にはその反省もあるでしょう。桑田監督ならインパクトはある。組織の活性化につながるかもしれない。この1年で桑田の適性を判断していくはずです」
巨人関係者の多くが、「勝っても負けても今季限りで勇退する可能性が高い」と口を揃える原監督の後任には、阿部慎之助二軍監督(41)が本命視されている。しかし、罰走や懲罰といった前近代的な厳しさを前面に出す阿部二軍監督のやり方は、ダルビッシュが疑問を呈するなど、ファンの間でもなにかと物議をかもしている。時期尚早との声も少なくなく、ほかにも松井秀喜(46)や高橋由伸(45)の再登板を推す関係者が巨人内にはいる。そこへ、桑田コーチ補佐の登場だ。
ポスト原はいよいよ混沌としてきた。