どこよりも早い 春のセンバツ優勝予想&注目選手【一覧表】
第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が29日に開かれ、出場32校が決定した。関東・東京6枠目は東海大相模(関東8強)が東京大会準優勝の日大三との争いを制した。昨春は、コロナ禍で大会が中止となり、球児は涙をのんだが、今年は有観客での開催を見込む。強豪校が顔を揃える中、どの高校が優勝するのか。日刊ゲンダイが徹底予想した。
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■大阪桐蔭(◎)
「今年は近畿の6校の力がある。中でも、大阪桐蔭(近畿大会準優勝)が優勝候補の筆頭です」
アマ球界に詳しいスポーツライターの安倍昌彦氏は、こう分析する。
大阪桐蔭は大阪大会で履正社を破り、1位から近畿大会に臨んで準優勝。投手は今秋ドラフト1位候補の最速150キロ左腕・松浦慶斗(2年)を軸に、関戸康介(2年)ら多くのドラフト候補を擁する。
「打者にしても、大学、社会人に進めばすぐにでもレギュラーになれるだろう選手が、3~4人はいる。補欠選手を見ても、他の出場校でレギュラーを張れる選手が何人もいます。選手個々の力は全国的にもずぬけているでしょう。大会前の現時点では、優勝候補から外す理由が見当たりません」(前出の安倍氏)
春は夏と違い、実戦経験が少ない中で本番を迎えるため、投手有利といわれる。
「エースである松浦は球にスピードがあるのはもちろん、左腕投手にありがちなフォームのアンバランスさもない。スライダーなど2~3種類の変化球を操ることもできる。昨年は、立ち上がりが安定しない試合もあるにはあった。仮に本番でそうなったとしても、関戸や竹中勇登(2年)という二の矢、三の矢がブルペンに控えている。プロのような継投をしてくるでしょう。しかも、それぞれの投手が『俺がエースになってやる』とライバル心を持って切磋琢磨している。モチベーションも高く、投手力で押し切る可能性が高いとみています」(前出の安倍氏)
■明徳義塾(○)
大阪桐蔭の対抗馬は2校。そのひとつが明徳義塾(四国大会優勝)だ。
「エース左腕の代木大和を軸とした守り勝つ野球がウリです」(前出の安倍氏)
183センチと恵まれた体格の代木は、最速130キロ台と目立った数字はないものの、安倍氏は「昨秋はこれまでとは別人のごとく、安定した投球をしていた」と、こう続ける。
「以前は力任せの投球で制球を乱し、自滅することもあったが、カットボールを習得し、有効に使うことで、力まなくなった。力まない分、ボールの伸びが出てきて制球も安定。それによってスタミナも温存できたのか、四国大会では全3試合で完投した。3番遊撃の主将・米崎薫暉(2年)を中心とした堅い守りをバックに、しぶとく僅差の試合を制しながら、勝ち進んでいくかもしれません」
中京大中京(▲)
中京大中京(東海大会優勝)も、大阪桐蔭を蹴落とす力はある。同校は今秋ドラフト候補の最速151キロ右腕・畔柳亨丞(2年)がチームを牽引。スポーツライターの美山和也氏は言う。
「東海大会準決勝の三重戦を見ましたが、畔柳は踏み出す方の左膝がよく曲がり、グッと沈み込んで投げる。オーバースローでもリリースの位置が低く、球が浮き上がって見えます。この試合は制球を重視してセットポジションで投げたため、直球は140キロ台前半でしたが、他の投手よりもボールが重たい印象を受けた。走者が出たらギアを上げるなど、投球にメリハリをつけられるし、スタミナもある。同校のOBからは、昨年のエースで中日にドラフト1位で入団した高橋宏斗よりも潜在能力は上だと聞きました。大阪桐蔭打線を封じ込めるとしたら、この畔柳でしょう」
市和歌山(×)
大阪桐蔭、明徳義塾、中京大中京の3校に続く大穴候補は、市和歌山(近畿4強)だ。同校はドラフト1位候補で、最速152キロを誇る右腕・小園健太(2年)が絶対的なエース。近畿大会では3試合に登板、22イニングで自責点はわずか1。21三振を奪い、その実力を存分に見せた。前出の美山氏が言う。
「チームを50年ぶりに近畿大会4強に導いた小園は直球より変化球がいい印象。不利なカウントからでもスライダー、カットボール、ツーシームなど多彩な変化球で自信を持ってストライクが取れる。昨秋に強豪・智弁和歌山と県新人戦準決勝、県準決勝、近畿大会準々決勝で対戦して3連勝。捕手兼4番の松川虎生(2年)とは中学時代の貝塚ヤングからバッテリーを組んでおり、息もピッタリ。松川は主砲として高校通算31本塁打をマークしていますが、ただ、全体的に打線が弱い印象。この冬にどれだけ上積みがあるか。バッテリーの能力は抜けているだけに、打線次第では上位も狙えます」
小園に続く2番手投手など、課題があるため大穴候補としたが、小園の奮闘次第では、アッと驚く展開に持ち込むかもしれない。