阪神開幕投手は藤浪に!矢野監督が“仰天指名”の狙いと思惑

公開日: 更新日:

ローリスク、ハイリターン

 問題は対戦相手だ。

 藤浪は2017年4月4日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)に先発し、畠山の顔面付近にぶつけ大乱闘になった。そもそも制球がいい投手ではなかったが、それ以後、とくに右打者に対しては「抜け球」が多くなり四死球を連発するようになった。プロ入り4年で42勝の右腕が制球に苦しみ出し、藤浪本人は否定していたが、メンタルが原因で投球動作などに支障をきたす「イップス」になったといわれた。

 実際、畠山にぶつけた17年はわずか3勝。翌年から5勝、0勝、1勝。オープン戦では藤浪の死球を恐れて、スタメン全員を左打者にするチームもあったほどだ。将来のエース候補がほとんど戦力外の状態にまで落ちて、しばしばトレード要員に名前が挙がるまでに不振を極めた。

 そんな藤浪が、トラウマも噂される春先のヤクルト戦で、しかも敵地の開幕マウンドに立つ。矢野監督の「ギャンブル」はリスクが高いのではないか。

「ローリスク、ハイリターンですよ」と、阪神OBがこう語る。

「藤浪の不調は肩やひじのケガや体力の衰えが原因ではない。ブルペンの球を見れば、ストライクを投げていれば打たれないと思うほど、すごいボールです。150キロのスプリットなんてヤツしか投げられませんよ。復活すれば15勝はできる。そんな投手は阪神にはいない。イップスは畠山の死球がきっかけといわれているが、本当のところはわからない。だが、20代の女性らと会食してコロナに感染したり、退院直後の練習遅刻での二軍落ちなど、心の隙がすべてを狂わせた。160キロを連発した昨秋から調子を上げ、今も持続しているということは、本人も心に期するものがあるのだろう。開幕投手を告げられ、『よしっ!』と奮い立ったはずです。山田や内川という右打者をピシャリと抑えて開幕のヤクルト戦に勝てば、チームは乗るし、本人も嫌なイメージを払拭できる。逆に、そんなことがあっては困るが、四死球でボロボロになっても、巨人がエースの菅野で開幕を落とすようなショックはない。昨年までほとんど戦力になっていない投手ですから、こういうのはギャンブルとはいわんでしょう」

 藤浪の劇的な復活ショーを誰より見たいのは、契約最終年の矢野監督なのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動