メジャーで実績のない指揮官はおちおち入院もできない
■絶対安静の指示を無視
実績に乏しい監督や立場の弱い監督はこうはいかない。
一昨年9月、ナショナルズのデーブ・マルティネス監督は、ポストシーズンに進出できないとクビが確実な情勢だった。それがプレッシャーになって狭心症が再発。入院を余儀なくされカテーテル治療を受けた。これは体に大きな負担がかかる治療だが、同監督は医師の絶対安静という指示を無視して3日間欠場しただけで現場に復帰。ナショナルズの選手たちは監督が蒼白の顔でスピード復帰したことに奮い立ち、最後の8試合をすべて勝ってワイルドカードでのポストシーズン進出を実現。その勢いを駆って地区シリーズ、リーグ優勝シリーズ、ワールドシリーズで強敵をなぎ倒し奇跡の世界一を成し遂げた。
これとは逆に、手術を受けた監督の早過ぎる復帰がマイナスに作用するケースもある。ヤンキースのブーン監督は心臓に持病があり、今年のキャンプで再発の兆候が見られたため3月4日に戦列を離れて入院、左鎖骨下を切開してペースメーカーを埋め込む手術を受けた。球団内で高く評価されていないことを知っているブーン監督は、通常10日前後必要な入院を2日で切り上げ現場に復帰した。しかし、無理に復帰したため顔は土色でコメントも支離滅裂。監督の病人然とした様子はチームの士気を下げることにもなり、ヤンキースは開幕から絶不調。4月18日時点で地区最下位に沈んでいる。