羽生結弦「卒論」流出の波紋…現行採点制度への不満つづる
「卒論は研究、勉学の一環。羽生選手もまさか論文が表に出るとは思わず、踏み込んだ言及をしたのでしょう。フィギュアスケートの現場の裏側では、メディアに報道されることはありませんが、選手がジャッジについて不満や疑問を口にすることは珍しくありません」
羽生といえば、前人未到の4回転半ジャンプ(クワッドアクセル=4A)を猛特訓中だが、挑戦を公言し始めた直後の2018―19年シーズンから基礎点が前年度の15点から12・5点に改正。世界で最も成功に近いといわれる羽生の「ひとり勝ち」を阻止するためではないかとの声も上がった。そもそも大会のたびに、「羽生の得点が低すぎる」という疑念が出ている。
■「情緒の部分は数値化できない」
今回の論文で、北京五輪を前に「羽生イジメ」が加速するのではないかとの不安も広がるが、「それはないと思う」と否定するのは、前出の梅田氏だ。
「今は米国もヨーロッパもスケートショーが廃れてしまい、日本が一番の稼ぎ場所になっている。スケートを盛り上げるため、むしろ日本の選手に勝ってほしいというのが業界内の本音。4Aの基礎点減点は全体のバランスを考えた点数。北京五輪は現行ルールでいくでしょうが、五輪の翌年は改正が起こりやすい。4Aも基礎点が元に戻る可能性があります。ジャンプの点数はトライする人が増えれば下げ、減れば上げる傾向にあります」