著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

メジャー球団は温室効果ガス削減に10年以上前から取り組む

公開日: 更新日:

 実際、大リーグの球場1カ所で消費する電力は年間3000万キロワット時であり、光熱費も年間100万ドル以上という試算もある。これは米国の平均的な家庭3000戸分の消費電力に相当する量だ。

 こうした状況を受けて、08年にマリナーズが4月22日のアースデーを記念して3700ドル分のカーボンオフセットを購入して以来、大リーグでは温室効果ガスの削減に取り組んできた。

 例えば、球場の電灯をエネルギー効率がより優れたLEDに交換したり、球場で使用済み家庭用電化製品の回収を行う。あるいは球団がカーボンオフセットを購入するといった取り組みは典型的な事例だ。カージナルスのように「06年に現在のブッシュスタジアムが開場して以来、電力や水の使用量を10%削減した」などと、エネルギー問題への取り組みを積極的に公開する球団もある。

 いずれの取り組みも「環境に配慮する球団」という印象を与えることで球団の好感度を上げ、地域との関係を良好にしようとする側面を持っている。

 規模の点で一層の改善の余地があることは確かだが、それでも10年以上にわたる球界の対策はこれからも続くし、人々が気候変動や温暖化ガスの問題を身近なものとして考える一助となっているのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    初V京都国際の《正体》と《左腕王国の秘密》…野球部“以外”の男子生徒わずか12人

  2. 2

    《古いタイプの指導者》はア然ボー然…大谷の恩師による「甲子園塾」講義の中身

  3. 3

    悠仁さま「進学に向けた勉学の大切な時期」でも続く秋篠宮家と宮内庁の軋轢

  4. 4

    「Snow Man=めめ以外は演技下手」定着のリスク…旧ジャニのマルチ売りに見えてきた限界

  5. 5

    山陰まで及ぶ大阪桐蔭・西谷監督のスカウト活動範囲…《最新車で乗り付けてきた》の声も

  1. 6

    目黒蓮をCMに再起用したコーセーにSnow Manファン大暴走 佐久間大介も別問題でファンに苦言

  2. 7

    吉永小百合(10)「15歳年上のバツイチと、よく一緒になりましたね」会員限定記事

  3. 8

    ドジャースの“朗希タンパリング疑惑”で大迷惑!米29球団&日本プロ球団こぞって怒り心頭の納得理由

  4. 9

    麻生太郎「3頭体制」崩壊でいきなり窮地…自民党総裁選でキングメーカーとしても機能せず

  5. 10

    元プロが関わる「チンピラまがい」の関西ボーイズチーム出身者にスカウト要警戒《教育できそうにない》