大谷初タイトル視界良好も…二刀流継続でチームにシワ寄せ

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 エンゼルス・大谷翔平(26)が、今季初勝利をかけて日本時間27日のレンジャーズ戦(テキサス州アーリントン)に登板。今回はDH制を解除して「2番・投手」でオーダーに名を連ね、5回9奪三振4失点の投球内容で3年ぶりの白星を挙げた。打っては2安打2打点と大車輪の活躍を見せた。

■失投を逃さない

 今季、二刀流に復帰した大谷。打撃は文句なしに絶好調だ。20試合に出場し、80打数24安打の打率.300、7本塁打、18打点。本塁打はメジャートップタイで、打点はア・リーグ4位タイ(1位はレッドソックス・マルティネスの21打点)。気の早い話ではあるものの、現時点では打撃タイトル2冠を狙える位置に付けている。今後の投球次第だが、ア・リーグMVPの有力候補に挙げるメディアも中にはある。

 今季は「制限を設けない」というマドン監督の方針から登板日前後も休まず出場。登板日にDH制を解除するリアル二刀流はこれで2試合目。打席数が十分に確保される今季は、いよいよ初のタイトル獲得も射程圏に入ってくる。

「メジャートップクラスの打球速度、飛距離をマークしている大谷はタイトル争いの輪に加わるでしょう」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「これまでは低めに強いローボールヒッターでしたが、今季は高めにも対応しています。チェンジアップやカーブでタイミングを狂わされるシーンもありますが、失投を逃さず確実に捉えているのが、本塁打量産につながっている。打席では自信に満ちあふれています。現状、6本塁打以上をマークしている打者がア・リーグで8人。僅差でひしめき合っていますが、故障による長期離脱さえなければ、最後までタイトル争いを続け、メジャー4年目にして初の栄誉を手にするのは決して不可能ではないと思う」

投手陣は30球団ワースト

 好調をキープする大谷とは対照的に、チーム状態は芳しくない。開幕直後はア・リーグ西地区首位に立ちながら、ここ5試合は2勝3敗。現在11勝10敗で首位アスレチックスから3ゲーム差の3位(27日終了時)だ。

「エ軍失速の原因が、大谷を含めた投手陣にあるのは明らかです。チーム防御率は30球団で唯一の5点台(5.16)で、先発、リリーフとも崩壊状態。投手陣のテコ入れを図らない限り、現状のメンバーでは上がり目は期待しにくく、有原のレンジャーズとともに最下位を争うことになるのではないか」(前出の友成氏)

 大谷が打って打って打ちまくっても、チームの成績が伴わない。エンゼルスでは過去にMVPを3回受賞した主砲のトラウトと同じく孤軍奮闘の体だが、トラウトと異なるのは大谷の二刀流が少なからずチームの投打に影響を及ぼしている点だ。

■投打にシワ寄せ

「大谷が二刀流を続けることによって、投打にシワ寄せが生じているのです」

 と、現地特派員のひとりがこう続ける。

「投げる方でいえば、大谷はマメやコンディションの問題があって登板日が不確定です。エンゼルスはローテに余裕を持たせる意味で先発6人制を敷いているのですが、大谷が一定の間隔で投げないことで他の先発の登板日がズレる。バンディとキンターナは中4日の登板を強いられています。野手に及ぼす影響も少なくありません。大谷がDHに入って、膝に不安を抱えるプホルスは一塁守備を余儀なくされたし、いま現在もDHに入ることで、ベテラン野手が休養を兼ねたDHを使えません。登板日にDHを解除して打席に入れば、早期降板後のやりくりに問題が生じます。かといって常に大谷に不慣れな左翼を守らせれば、もたらす得点以上の失点を覚悟しなきゃならない。ザルで水をすくうような事態になりかねません」

 エンゼルスの広報によれば、「メジャーの本塁打でトップに立つ選手が先発マウンドに立つのは100年ぶり」とか。1921年6月13日、19本塁打を放っていたヤンキースのベーブ・ルースがタイガース戦に先発して以来だという。

 大谷の二刀流選手としての能力がメジャーでも注目を浴びているのは事実とはいえ、野球はチームスポーツ。そのスゴさが勝利に結び付かないとすれば、むなしいと言うしかない。

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