東京五輪で選手や関係者がコロナに感染したら誰が責任を?
コロナ禍による東京五輪の1年延期で日本が負う追加費用は3000億円に達している。トータルで1兆6000億円以上が“平和の祭典”につぎ込まれるのだが、支出はさらに膨らむ可能性がある。
各世論調査で国民の過半数が東京五輪の中止を訴える中、25日現在、10都道府県で緊急事態宣言が発令されている。さらなる宣言延長が見込まれているが、それでもIOCのコーツ調整委員長は「緊急事態宣言下でも開催する」とうそぶき、組織委も「安心安全な大会開催」と、ハンで押したように繰り返している。
しかし、万が一、選手や関係者が大会開催中に新型コロナウイルスに感染した場合、誰がどのような責任を負うのか。
「もちろん、責任は東京五輪の運営主体である大会組織委が負います」と、損害賠償などの法律に詳しい弁護士が匿名を条件にこう続ける。
「世界中でコロナ禍が広がっていますが、『この状況でも安心安全に開催できる』という組織委との約束の上で、選手たちは参加するわけです。東京五輪は選手たちの行動範囲を制限し、体調や移動先など細かいデータの提出なども義務付けています。アスリートや関係者がこれらを順守した上で日本国内で感染したとなれば、当然、労働契約法の『安全配慮義務違反』で訴えられる可能性が高い。さらに、感染によって大会に出場できなくなったとなれば、そちらの慰謝料も請求されるでしょう」