大坂なおみの「うつ病告白」に違和感を感じてしまう理由
そしてそれは、「うつ病って2カ月程度休んだら、五輪に出られるぐらい軽いものなのか?」と、うつ病に対する理解を遠ざけてしまう恐れもある。大坂選手は、来月開幕する東京五輪については、体調などを見ながら出場したいとする意思表示したと報じられている。これが本当だとしたら、実際に今うつ病と戦っている人たちについて誤った印象を与えてしまう懸念すらあるだろう。
■必要なのは「主張」ではなく「対話」
ツイッターで大坂選手は、〈現状は私が想像したものではなく、数日前にツイートした際に意図したものではなかった〉と弁明したが、本当に他の選手のことも考えたうえで、プレーしやすい環境づくりのために主張したのであれば、一方的な「主張」ではなく、「対話」の中で自らの言葉を伝えなければ、根本的な問題は何も解決しないだろう。
テニス界のメンタルヘルスに対する理解の向上が目的ならば、大会前に診断書と共にうつ病であることを主催側に明かしたうえで対話をしていたら、今のような大坂選手にとって負担になるような展開にはならなかったのではと思ってしまう。