中村稔さん死去 巨人で「投手王国」を築いた伝説のコーチ

公開日: 更新日:

「東京ドームはグラウンドが堅いだろう。だからドームで試合があるときは多摩川のグラウンドに投手を集め、ランニングさせてから球場入りさせた」

 投手の足腰の負担を軽減し、なおかつスタミナをつけさせる。そうした工夫が最多完投につながったのである。

 ピッチャーのバッティング練習にも力を入れ、こんな話もしていた。

「試合の終盤、チャンスで投手に打順が回ってくると、好投しているのに(藤田)監督が代打を出すというんだ。それで代打は誰かと聞く。名前を聞いて納得がいかないと、それならピッチャーを打たせた方がいいですよ、といってしばしば監督を押し切ったんだよ」

 実際、桑田や斎藤を筆頭に当時の巨人の投手はバッティングが良かった。

 中村さんは80歳を過ぎても千葉にある大学の野球部や社会人野球チームで投手を指導。阪神西勇輝ソフトバンクの岩崎翔など、中学時代に野球教室で教えた選手のピッチングをテレビで見ては気にかけていた。


 ちなみに中村さんが断ったロッテ監督には藤田巨人でヘッドコーチを務めた近藤昭仁さんが就任。「アキ(近藤監督)を助けてやってくれ」と藤田さんに頼まれた中村さんは投手コーチに就任することになる。

 生涯、一投手コーチを貫いたのである。

(文=荻野通久/元・日刊ゲンダイ スポーツ部長)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も