登山家・野口健氏が警鐘「今の五輪強行ムードは登山なら完全に遭難するパターン」
今後、今回の東京五輪以上に問題が大きいのは、来年開催予定の冬季北京五輪。あれこそ無条件で開催しちゃまずいと思っています。2008年の夏季五輪は、チベット問題で暴動も起きたのに、IOCから何も制約も与えられずに開催された。あれはある意味、IOCが「お墨付き」を与えてしまった大会です。その後のウイグル自治区や香港の人権問題に繋がってくるわけで、もはや五輪は「アスリートファースト」ではない、「IOCファースト」。IOCのビジネスとして五輪が行われているのが現状です。今回、コロナを通して五輪やIOCの体質が見えたことで、日本国民はもちろん、世界の国々で五輪に対する気持ちがすごく冷めたと思う。その反面、このB面はこれから手を挙げる国々にとっては良い発見だったと思います。
▽のぐち・けん 1973年8月21日生まれ。米ボストン出身。日本人の父とエジプト人の母を持つ。英で高校を停学処分となり日本へ帰国。登山を始める。亜細亜大時代、25歳でエベレスト登頂に成功。2000年に富士山の清掃活動を始め、環境保護活動に従事。戦没者の遺骨収集にも携わる。