【スケートボード】史上最年少金・西矢椛と銅・中山楓奈 メダリスト2人の“家庭の事情”

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西矢椛のはじける笑顔はお父さん譲り

「最新記録だと思うので、それがうれしい」

 たどたどしい口調で語ったのは26日、東京五輪スケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛(13)。13歳11カ月での金メダルは競泳・岩崎恭子の14歳0カ月を上回り、史上最年少記録だ。

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 最年少を「最新」と表現したのはご愛嬌。初の大舞台、新種目で自国開催という注目にもかかわらず、試合中も笑顔で滑る姿が何度もテレビ画面に映し出されて話題となった。

■西矢の父親はビルメンテナンス従事の支店長

「椛ちゃんのはじける笑顔はお父さん譲りです」

 そう話すのは、父・西矢翔さん(39)が勤務する「株式会社メイハン」の川瀬専務取締役だ。

「西矢翔くんは大阪店の支店長として、総合建物管理業務、いわゆるビルメンテナンスに従事しています。弊社所有の建物管理の統括責任者。西矢くんも椛ちゃんに負けず劣らずの笑顔が印象的で、どんな状況でも笑顔を絶やさない温和な性格です。金メダルを取った瞬間に連絡したら、『エライことになりましたわ』と声を震わせていた。おそらく泣いていたんじゃないかと。予選から決勝までずっとメールでやりとりしていて、そのたびに『泣いています』と返してきました」

 新型コロナウイルスの影響で家族の観戦も原則禁止だが、西矢が13歳という年齢のため特別に家族の同行が許され、母の智実さん(39)のみが会場入り。翔さんは「公休」を取得し、大阪府松原市内の自宅で観戦した。

 両親ともスケートボードの経験はほとんどないという。ただ、“横乗り系”という意味では、共通点があるかもしれない。

「西矢くんとは20代前半の頃からの付き合いですが、まだお子さんがいない時代、私と一緒にサーフィンをやっていました。もちろん(東京五輪サーフィン代表の)五十嵐カノア選手に怒られるレベルの、たしなむ程度の腕前ですが(笑い)」(川瀬専務)

 日本は海外と比べて、本格的なスケートボード施設が少ない。西矢は自宅近くの「スポーツパークまつばら」を拠点にしていたが、バリエーションに富んだ練習場を求めて全国を飛び回った。

「大会の遠征も含め、日本全国のパークを西矢くんの運転で津々浦々、巡っていた。日本代表候補になる前は海外に帯同したこともあると聞いています。『年頃の娘と何時間も車内で気まずくないのか』と聞いても、『全然。友達みたいですよ』と。いい育て方をしとるなあと。子育ての参考にしたいと思いましたね。スポンサーの支援を受けるまでは、家族の支援が欠かせない。弊社には『スケボー特別手当』はないので、苦労された部分もあるかもしれない。これからは娘さんにすり寄るんじゃないですかね(笑い)。(社名が出たということで)我々もしっかり便乗しようと思います、と西矢くんにも伝えてあります(笑い)」(川瀬専務)

中山楓奈は寡黙だが英語はペラペラ

 笑顔が印象的な西矢と対照的なのが、銅メダリストの中山楓奈(16)。富山県出身。龍谷富山高で中山が所属する陸上部の顧問、井上教諭はこう話す。

「彼女は富山市立山田中学時代も陸上部に所属していました。オフシーズンの筋力や脚力など基礎体力維持の目的で入っています。普段は物静かでクールな子。自分から何か主張する子ではなく、黙々と信念をもってやる生徒です。学校とは別の会議場でパブリックビューイングを行っていたんですが、画面で彼女の笑顔が映し出されたとき、職員一同びっくりしました。あんなに笑うんだ、と。正直、学校であんなに笑っているのは一度も見たことがなかった。得意科目は英語。海外選手と話す機会も多いようで、スピーキングの授業ではペラペラです」

 中山の父・洋志さん(44)のスケートボード経験は「昔、少しやっていた程度」(井上教諭)だという。地元の富山に国内最大級のボードパーク「富山市ストリートスポーツパーク」ができた2014年、中山は9歳の誕生日にデッキ(板)を買ってもらったことをきっかけにスケボーを始めた。

「富山市ストリートスポーツパーク」の担当者は中山の印象をこう語る。

「始めた頃は地元のお兄さん、お姉さんたちとボードに乗りながら鬼ごっこをして楽しんでいた。今は土日祝になると10時から19、20時まで練習していることも。学校が休みの日は、お父さんが車で送り迎えをされていたと思います。強化指定選手になるまでは、使用料を実費で支払っていただいていました。笑わない? そう、めちゃくちゃ寡黙です。世界大会で成績を出したとき、地元のテレビや新聞社から取材されていましたが、一切笑わないので、インタビュアーの方をタジタジにさせていました」

 パリ五輪でも西矢16歳と中山19歳。3年後も若いメダリスト2人が躍動するか。

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