<7>ロザ・モタは金メダルを獲得した夜に我々の皿洗いをした
モタはそれだけ言うとシンクに向かい、山積みの食器を洗いだしたのだ。
「明日、社員が洗いますからそのままでけっこうです」
「いいえ、私に洗わせてください」
モタはすべての食器を洗い終え、「おやすみなさい」と言って、選手村に帰っていった。時計は23時を過ぎていた。
念願の金メダルを取った当日の晩だ。おいしいものでも食べてゆっくり休みたいはず。たゆまぬ努力に感服したと同時に、このような選手と契約できたことを誇りに思ったものだ。 (つづく)