【体操】村上茉愛が個人種目で日本女子初メダル!池谷幸雄氏が明かす「シリバス」誕生秘話
「ピットシステムという、プールのような堀の中にトランポリンを張り、その上にマットを敷いた設備の上で2回宙返り1回ひねりの練習をしていたときです。縦に2回まわれたらひねりを入れていくなど、徐々に回数や難易度を上げていく中で、『ムーンサルト』がひねりすぎて『シリバス』になっちゃった、というのが最初でした。公式大会で初めて成功したのは小学校6年生で出場した08年の関西ジュニア。といっても、公式大会で初めて披露したのもこの試合で、初挑戦で初成功したのです」
難易度の高い大技になればなるほど、失敗のリスクだけでなくケガの危険性も上がる。しかし、村上の場合は「シリバス」の演技で大きな失敗をしたことがほとんどないという。
■優れた空中感覚
「大きな失敗もなく、ここまで来ました。小柄で指導する側が補助しやすかったのでケガにもつながらなかったのも大きい。『ゆかはいろんな技ができるから楽しい』と積極的に練習していました。ゆかの技でのケガはほとんどなかったので、技に対する恐怖感が出てくることなく、ずっと続けてこられたんだと思います。もともと空中感覚がとても優れた子だったのに加え、脚力も強かった。シリバスは蹴る力がないと高さが出ないので成功できませんからね」(池谷氏)
試合ではミスなく、着地をピタリと止めた村上。試合後は「体操人生の中で一番いい演技でした。勝手に自分に金メダルをあげたい」と笑った。