阪神らしさにあふれた親愛なる4番。大山の確変…後半戦は早くも3本塁打
だけど、このころから大山には、いったん調子が上向くと爆発的に固め打ちするという、確変打者みたいなところがあった。1年目はクライマックスシリーズで13打数7安打と打ちまくり、2年目の9月には月間9本塁打と、まさに確変の大爆発。その他、1試合3本塁打や1試合6安打を記録したこともあり、そのたびに私は大山に大器の片鱗を感じた。
そして昨年、28本塁打でようやくブレークしたかと思えば、今年前半戦の不振である。なんとも浮き沈みの激しい、落ち着きのない打者といった感じで、大山を見ているといつもヤキモキさせられる。佐藤のような誰もが認める至宝というわけではなく、多くの雑音や批判に苦しみながら、少しずつ成長してきた泥くさい打者だからこそ、そこが妙に阪神の選手らしくて、だから我が子のような親愛の情を抱いてしまうのかもしれない。
大山はまだまだ「頼れる4番」ではないのかもしれない。だけど、誰よりもホームランを打つとうれしい、親愛なる4番ではある。後半戦に入って確変打者の本領発揮となるなら、夏の終わりが楽しみでならない。
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