せっかく見つけた金の卵! 夏の甲子園に出た選手を“訳あり”で猛プッシュした
実は担当する地区の高校生でひとり、これはってのがいた。売り出し中の若手とポジションも重ならない。甲子園には出られそうもないので、あらかじめ部長に猛プッシュ。練習試合まで見てもらったんだけど、「んー……」とクビをかしげて煮え切らない。
こうなったら別の選手を探すしかない。先日のスカウト会議では、甲子園で見たある選手を「是が非でもウチが取るべきです」って声高に訴えたさ。その選手の担当スカウトが「どうかな……ドラフト4位か5位、下位まで残っていれば指名する程度の選手じゃないスかね」なんて言うから、「冗談じゃない! あれだけの選手は上位で指名しなけりゃ、取れませんし、その価値はありますって」と口角泡を飛ばしながら訴えたよ。
■まるで異なる評価
担当の評価をうのみにしてたら、クロスチェックの意味がない。2、3年前のスカウト会議では、だれもが1位候補という野手を、「足も肩もいまひとつ。長距離打者という触れ込みですけど、フォームがよくない。木製バットでどうかと思うし、5位クラスじゃないですか?」なんて言うスカウトもいたほど。