<7>愛媛の母に「僕の愚痴は誰に言ったらええんや」と電話をかけた
■キャプテン志望
息子は福重監督の高い要求に応えるため、サッカーに集中して夜遊びなど問題を起こすことも一切なかった。努力の甲斐あって高1からボランチやFWで試合に出るようになったが、一方で「自分がやらなあかん!」という気持ちが強くなり過ぎる傾向にあった。
その精神的重圧を親として「うまく受け止めることができなかった」と幹雄さんは反省する。
「大地が高2の時のチームは『あまり強くない』と発足時に言われていて、勝てないことも多かったんです。高1のころから試合に出ている数少ない選手ということでプレッシャーも大きかったんでしょう。本人もちょっとした愚痴を言ってきたことがありました。でも私は『プロになりたいなら弱音を吐いていたらダメだ』と考え、『全て自分のことと捉えてやらなあかん』と鼓舞したんです。大地はその直後、愛媛の妻に電話を入れて『僕の愚痴は誰に言ったらええんや』とこぼしたと聞きました。それで私も反省して、弟の大夢(J3・福島)の話はできるだけ聞こうとした。その姿を見て大地が『お父さんも変わったな』と苦笑いしていましたね」