新生なでしこジャパン オランダ相手にスコアレスドロー決着 池田新監督の初白星はお預けに

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 池田太監督率いる新生なでしこジャパン(世界ランク13位)の船出は、「勝ち星なし」に終わった。 

 オランダ遠征の初戦で同16位のアイスランドに0-2で敗れ、日本時間の11月30日午前3時45分キックオフのオランダ(同4位)戦は、0-0のスコアレスドロー決着となったからである。

 見せ場の乏しかったアイスランド戦と比べるとオランダ戦は、なでしこが攻め込む場面の方が多く、2017年欧州選手権優勝、2019年W杯準優勝という強豪相手に勝機は十二分にあった。

 その要因は二つある。

 まずは、オランダが現地27日にW杯欧州予選を戦っており、この日は<主力不在で初代表選手が多い2軍>チームだったこと。なでしこがアイスランド戦からスタメン7選手を代え、ほぼベストメンバーで臨んだことが挙げられるだろう。 

 序盤は一進一退。前半22分、MF宮沢ひなたがチーム1本目のシュートを放ち、28分にはMF長谷川唯のパスを受けた宮沢が、左サイドから折り返しを供給するなどチャンスを演出。オランダDF陣をバタつかせた。

 40分、MF林穂之香の縦パスを受けたMF長野風花が、右サイドを攻め入ってマイナスに折り返し。これをFW菅沢優衣香がペナルティーエリア内で右足シュート。相手DFにブロックされてしまったが、試合の主導権を握ったなでしこにゴールの予感が漂った。

「決定力不足は大きな課題として残った」

 後半も優位に試合を進めたが、途中からオランダが中堅選手を投入して盛り返し、なでしこはフィニッシュまで持ち込めなくなってしまう。

 74分、途中出場のMF岩渕真奈が、相手ペナルティーエリア手前で絶妙ラストパス。抜け出した菅沢がスライディングしながらシュートを放ったが、オランダ選手のブロックに阻まれた。

 菅沢が、もっと機敏な動きでシュート態勢に入っていたら、完全に1点モノの場面だった。

 その後、なでしこは好機を作れず、0-0という結果に落ち着いた。

 オランダは、後半にベテランCBが若手CBと交代し、DF4人とGKの計5人が「初代表」というフレッシュなメンバーとなった。それだけにノーゴールは、残念な結果と言うしかない。サッカーダイジェスト元編集長の六川亨氏がこう言う。

「足首痛でベンチスタートの岩渕と代表初出場の21歳先発GK田中桃子以外、現時点のベストメンバーが揃ったなでしこは、レギュラー不在のオランダに<ゴールを奪って勝利する>ことが求められた試合でした。なでしこは、たとえばロングボール勝負を挑んでくるイングランドタイプのチームを苦手としているが、なでしこと同じように<ボールを回しながら攻撃のリズムを作っていく>オランダとは相性が良い。オランダ戦は前後半ともに付け入る隙はあったし、アイスランド戦に続く決定力不足は大きな課題として残りました」

「勝てる試合を確実にものにしなければ」

 なでしこ初代専任監督の評論家・鈴木良平氏は、「アイスランド戦と比べると意図的に改善された部分は評価できます」と前置きしてこう続ける。

「前線からプレスを掛けたり、少し様子を見てから<このゾーンにボールが入った>と事前に決めたポイントでプレスを掛けたり、どこで<プレスのスイッチを入れる>のか、選手全員が共通判断を持ってタイミング良くやっていた。攻撃面においては、相手ゴールに迫る際に<人数を多く掛けられる>ようになり、セカンドボールを拾って波状攻撃を展開する場面も見られた。ただし、この日のオランダは、アイスランドよりも<迫力に欠ける選手たち>が多かった。勝てる試合を確実にものにすることの大切さをチーム全員で認識してもらいたい」

 なでしこジャパンは、2022年1月20日に開幕する女子W杯オーストラリア・ニューランド大会の予選を兼ねる「AFC女子アジアカップ(インド)」に参戦する。

 もしW杯出場権を逃すことになると、9月に開幕した女子プロリーグのWEリーグ人気に冷水を浴びせかけることにもなる。より一層の奮闘努力が求められる。

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