著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

張本勲氏も江川卓氏も…野球評論家にも押し迫る世代交代の波

公開日: 更新日:

 張本勲氏がTBS系ニュース番組「サンデーモーニング」のレギュラー出演を降板することになった。1999年の初出演以来、張本氏の過激な発言は常に多くの波紋を呼んできたが、御年81歳で卒業となった。

 もともと同番組は日曜日の朝の生放送という性質上、主に高齢者層をメインターゲットとして番組制作を行ってきたはずだ。だから取り扱うニュースも、それについてのオピニオンも、主に高齢者層が好みそうな論調になるよう意図的に仕向けていたところがあったと思う。張本氏を起用したのだって、「最近のプロ野球はなっとらん。昔は良かった系の論調」を発信することで、同じ時代を生きたコア視聴者層の共感を呼ぶ、あるいは留飲を下げるという狙いだったのだろう。その意味では、張本氏は自身の役割を果たしてきたのだ。

 しかし、近年の飛躍的なネット社会の発展によって、これまでの地上波テレビの特性のひとつであった放送曜日と時間帯を意識した限定的な番組作りの根底が揺らぐことになった。リアルタイムでその番組を視聴していない人の耳にも、あとから内容が入ってくるようになり、だから張本氏の発言はより広い層に拡散されることになった。そうなると、彼の論調は現在のテレビに向かないのは当然で、数年前からそろそろ潮時を感じさせる状態にはなっていた。

 とはいえ、もう十分だろう。今後はかの広岡達朗氏(89)のようにオジサン系週刊誌あたりから引き合いがあるかもしれない。それはそれで発言が注目されそうだが。

江川卓氏は「Going!」を卒業

 また、張本氏のずいぶん下の世代になるが、元巨人の江川卓氏も日本テレビ系「Going!」を卒業し、その江川氏の同級生で最大のライバルだった掛布雅之氏も阪神電鉄内のレジェンド・テラーなるポストを退任することになった。

 2人とも66歳。ご存じ70年代~80年代のプロ野球界の中心だった世代だが、いつの間にかこの世代も野球評論家の界隈では重鎮や大御所、あるいは隠居が囁かれるポジションになったということか。実際、現在のメディアで活躍が目立っているのは主に90年代~2000年代に活躍した選手たちで、監督やコーチもその世代がボリュームゾーンになっている。

 この世代の特徴といえば、自身の「YouTube」チャンネルを運営している人が多いことだろう。これによって個人が自由に発信できるようになった半面、登録者数などが世間に可視化されてしまうため、シビアな評価にさらされるようになった。

 現在、「YouTube」チャンネルの登録者が目立って多いOBは清原和博氏、里崎智也氏、上原浩治氏、古田敦也氏あたり。この中で一般知名度が高く、イメージも良いとなると上原氏と古田氏が両巨頭だろう。新世代の野球評論は、この2人が中心になるかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  5. 5

    露呈された韓国芸能界の闇…“兵糧攻め”にあうNewJeansはアカウントを「mhdhh」に変更して徹底抗戦

  1. 6

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  2. 7

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  3. 8

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  4. 9

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  5. 10

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い