プロ野球ルーキーの担当スカウトはやることてんこ盛り
「年の初めだってのにシケた面しやがって」
先日、新人の合同自主トレに顔を出したときの話さ。部長に会うなりこう言われたけど、「そりゃ、そうですよ」って、思わず言い返したよ。
ルーキーが始動したといっても、オレが担当した選手はゼロ。部長やエライさんに猛プッシュした担当地区の高校生右腕は、他球団に上位でもっていかれたからね。こんなケースが過去にもあったから、ひょっとしてオレはエライさんや部長に嫌われてるんじゃないかって思ったくらいだ。
■コーチにはプライドが
かと思えば、ひとりで担当の選手を3人も抱える同僚もいる。「やってられませんよ!」って吐き捨てようとした瞬間、部長がこう言った。
「そう、腐るなって。おまえが推薦した選手はたまたまオレや球団が評価しなかっただけで、これからも自分がいいと思う選手はどんどんプッシュしてくれていい。オレも球団もおまえの選手を見る目を信用してるから担当をもたせてるわけで、選手の評価は千差万別。スカウト全員が同じような評価をするならクロスチェックの必要もないんだから」