プロ野球ルーキーの担当スカウトはやることてんこ盛り
そして「ヤツはヤツで大変なんだから」と、担当を3人抱える同僚を指さしてこう続けた。
「スカウトの仕事は基本的に、新人を合同自主トレに連れてきた時点でひと区切りだ。けれどもそれで終わりじゃない。これからキャンプが始まって、監督やコーチが教えるようになると、どうしたって選手に合わないものも出てくる。選手によって性格や個性はまったく違うからな。そういうときこそ、おまえたちスカウトがフォローしてやらなきゃならない。かといって新人は基本的に現場に預けているわけだから、選手に直接、アレコレ言えばトラブルのもと。あくまでもコーチに、この選手はこういう個性、性格だから、こうした方がいいかもしれないと言う。コーチにもプライドがあるから、言い方に注意するのがコツだ。選手をひとり担当するだけでも大忙しなのはおまえも分かってるだろう。なのにアイツは3人も……」
ルーキーは初めてプロの世界に入るわけで、うまくいくことばかりではない。むしろ、うまくいかないことの方が圧倒的に多い。たまには電話して様子を聞くとか、精神面のフォローをしてやるのもスカウトの仕事だという。改めて部長から担当スカウトの大変さを聞かされたとたん、悔しい気持ちがどこかにすっ飛んで気が楽になったからオレも現金だね(笑い)。
(プロ野球覆面スカウト)