巨人・斎藤雅樹が成し遂げた不滅の「11試合連続完投勝利」これが舞台裏だ
巨人・斎藤雅樹の大記録の起点となった1989年5月10日の大洋(現DeNA)戦。中2日での登板だったが、七回まで1失点の好投を見せていた。しかし、4点リードで迎えた八回に無死満塁のピンチを招くと、藤田元司監督がマウンドに来た。交代かと思ったが、「先発完投」の方針通り、「よし、ここを切り抜けてみろ」と斎藤の尻をポンと叩いてベンチへ戻ってしまった。斎藤は不安そうな顔をしていた。
その後、1点差に迫られ、なおも1死一塁。それでも藤田監督は「続投だ」と言う。ここで代打・加藤博一さんの当たりは一塁ライナーで併殺となった。運も味方し、そのまま5-4。結局、最後まで一人で投げ切った。
■「お前は何も考えるな」
大記録への一歩を踏み出した斎藤は、さらに2戦連続完投勝利。それでもまだ自信が持てない様子の斎藤に私はこう言った。
「リードは全部オレに任せろ。おまえは何も考えなくていい。投げることに集中しろ」
「分かりました。言う通りに投げます。全部任せます」