89年日本Sで近鉄に3連敗「ロッテより弱い」と聞き…藤田元司監督がナインに放ったひと言
藤田元司監督は「ここまできたら開き直ろう。ここからはトーナメントと同じ。みんな高校野球で経験しているはずだから、その時を思い出して戦おう」と言った。3連敗を喫しても、なぜか勝てる気がしていた。
捕手目線で言うと、打たれた3試合で近鉄打線の特徴や攻め方をつかめた。特にブライアントの攻略法が分かったことは一筋の光明だった。対戦してみて、低めは強いものの、「高めの速球」と「内角に入ってくる変化球」が弱点だと分かった。実際、1~3戦までは9打数3安打、打率.333と打たれたが、4~7戦は15打数1安打、同.067に抑えることができた。ただ、最も大きかったのは4戦目に先発予定だった香田勲男の存在である。そのシーズンは7勝3敗だったが、振り回してくる猛牛打線に「ある持ち球」が合わないのではないかと感じていたからである。