日本ハム「新庄流改革」は諸刃の剣…開幕投手いまだナゾ、身内も“かく乱”され大困惑

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「候補は何人もいる。その辺はまだ自分でもわからない。なんでそんな開幕投手にこだわるの?」

 日本ハム新庄剛志監督(50)が13日の広島戦前、報道陣からの開幕投手についての質問に対し、こう持論を展開したという。

「いい投手を3、4番手に持っていったら、相手投手は3、4番手。勝ちはもらえるよね。この子は何勝も挙げられる。いい投手の時は全力で全員が潰しにいけば、勝ちを取ることができる。俺はそっちの考え方」

 新庄監督はキャンプ中盤に「候補は8人くらいいる。ガラガラポンで決めようかなと言うくらいいい投手がいる」と話せば、先日は「(開幕投手候補は)13人くらいいる」と“上方修正”。開幕カードがソフトバンク戦で、その翌週の3カード目がオリックス(京セラドーム大阪)との対戦。開幕投手は千賀滉大山本由伸というパ・リーグ屈指の好投手とぶつかることになるだけに、ライバル球団のスコアラーも苦笑いを浮かべこう言うのだ。

「本来なら、エース格である上沢直之(28)や伊藤大海(24)を持ってくるのが普通です。ただ、新庄監督は6日の巨人戦でリリーフの宮西尚生(36)を『オープナー』として先発起用し、全5投手の継投で勝利した。『今年1年間はトライアウトをやる』と言っているし、おそらくあらゆる投手をつぎ込んでくるのでしょう。他の11球団の大半は開幕投手が決定、発表していない球団も候補は絞れますが、日本ハムだけは開幕まで2週間を切ってもなお、開幕投手はもちろん、開幕3連戦の先発が誰になるのかさえナゾです」

 新庄監督は以前、首脳陣に対し、開幕3連戦ないし本拠地開幕カードでの投手起用について「『ブルペンデー』ではなく、もっと大胆に先発投手もリリーフ投手も1カードで全部つぎ込んじゃう。9回を9人のピッチャーでやるとか、3試合で12人の投手を1人30球ずつでつないでいく感じで」と、伝えたといわれている。しかも、2カード目の本拠地開幕カードは「OPENING GAMES 2022 新庄劇場開幕」と銘打たれ、グラウンド内外でさまざまな仕掛けが用意されているともっぱらだ。

年間通して「猫の目打線」になる可能性も

 “かく乱”されているのは敵だけではない。打順をガラガラポンで決めたり、本職以外の守備位置を守らせるなど、数々のサプライズを連発しているだけに、開幕まで残りわずかとなった今もなお、「新庄流」をツカミ切れていない選手、関係者がいるという。

「特に投手は調整が大変です」とは、日本ハムOB。

「新庄監督は今季、戦力の底上げを図るため、選手に余計なプレッシャーを与えず、最大限の力を発揮してもらいたい。だから『優勝なんか目指しません』という発言も出てきたわけですが、かといって先発とリリーフでは調整が全く違う。一般的にシーズン中に先発とリリーフのポジションを入れ替えるためには、少なくとも2週間程度の移行期間が必要といわれるくらいです。今の日ハムは上沢や伊藤、宮西ら実績のある投手は別にして、自分が先発なのかリリーフなのか、クリアになっていない投手は少なくない。選手は緊張感を持ってプレーしていることもあってか、今でこそチーム防御率は12球団トップの1.66と好調を維持していますが、オープン戦と公式戦は別物。ケガにも厳しい監督なので、難しい調整を強いられ、調子を落とす可能性はゼロではありません」

■「誰が主力か脇役か」

 野手に関してはここ数試合、近藤や万波ら一部選手はスタメン、ポジションが固定されつつあるものの、練習試合から2試合連続でスタメン起用しないなどの方針を掲げてきた。19日のDeNA戦(札幌ドーム)ではスタメンをファン投票で決める。多くの選手が出場機会を得て、さまざまなポジションで起用されることで、選手間に競争心が芽生え、チームが活性化していることは間違いないだろう。

 ただその半面、この日は広島に完封負けしたようにチーム打率.221と低調。選手1人当たりの打数や出場イニング数が減るだけでなく、本職の守備機会が少なくなっているのは確か。実際、オープン戦の規定打席に到達している選手は一人もいない。打順ごとにそれぞれ役割があるのだが、誰が1番を打ち、誰が4番を打つのかも見えておらず、年間通して「猫の目打線」になる可能性も十分にある。

 先日、テレビ解説をした元中日監督、GMの落合博満氏は、「日本ハムの場合は誰が主力なのか、誰が脇役なのか選手もわかってないんじゃないですか。例えば今までレギュラーだった選手がシーズンに入ってスタメンから外れたら、何で外れんだろうと不信感が出てこないとも限らない」と言っていた。

 3年連続5位チームの再建は簡単ではないとはいえ、ビックボス改革は「諸刃の剣」であるといえそうだ。 

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