1964年7月28日、神奈川県生まれ。桜丘高、亜大を経て、86年のドラフト1位で巨人、大洋（現DeNA）を含めた3球団競合の末、近鉄に入団。87年、新人王、89年は19勝（8敗）、183奪三振で最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得。その後、巨人、横浜でプレー、通算75勝68敗5セーブ。引退後は巨人、横浜、住友金属鹿島、中日などでコーチを務めた。
クイックの練習で疲労蓄積 ボークの後遺症に左膝軟骨損傷が重なって膨らんだダメージ
痛めたのは軸足で、プレートに引っ掛かるだけでも激しい痛みに襲われた。なので復帰後、右足は通常の野球のスパイクでも、左足は地面への引っ掛かりが少なくなることを考えてサッカーのスパイクを履いて投げた。そうやって10月9日、川崎球場のロッテ戦に先発して10勝目、滑り込みで2ケタ勝利を挙げたとはいえ、11敗と黒星が先行したシーズンだった。
■十分な走り込みができない
19勝してリーグ優勝に貢献した前年と比べ、球威が落ちたのは明らかだった。変化球に頼るようなところもあった。以前の球威を取り戻すためにも、本来ならオフの間に一から下半身を鍛え直すべきところだった。
しかし、シーズン終盤に痛めたのは左膝だ。オフに十分な走り込みができず、下半身のトレーニングを思うようにこなせなかったことが、翌年にツケとして表れることになる。
前年にリーグ優勝、その年のドラフトで社会人ナンバーワン右腕といわれた野茂英雄を抽選で引き当て獲得した。野茂は評判にたがわぬ活躍で90年、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝いた。チームに追い風が吹いていたにもかかわらず、近鉄はこの年、首位・西武から14.5ゲーム離された3位とふるわなかった。
私はもう一度、本来のボールを取り戻そうと、キャンプから目の色を変えて投げ込んだことも、あるいは影響したのかもしれない。左肘はついに悲鳴を上げることになる。 （つづく）
