西武・中村剛也の「三振日本記録」は素晴らしい! いい三振・悪い三振とは
西武の中村剛也(38)が6日、通算三振数の日本記録を更新した。
本塁打王に輝くこと6度。一発か三振か──プロ21年で喫した1956三振は、446本の本塁打を積み上げて「おかわり」の愛称で親しまれる彼の負の側面と思われがちだが、決して不名誉な記録ではない。
投手の目から見れば、それだけバットを振っている証拠。ちょっと甘く入ればスタンドに持っていかれる……そんな重圧を感じさせられる打者ほど怖いものはない。
恐らく、若い頃は打撃の粗さをあげつらわれ、監督やコーチから小言をもらうことも多かったろうと想像する。それでも彼は自分の打撃を貫き、凡打を恐れず、安打より本塁打を求めて、強くバットを振り続けた。その結果の1956三振であり、446本塁打だ。むしろ、名誉な記録と拍手を送りたい。
前三振記録保持者の清原和博もそうだった。近鉄、ダイエーのコーチ時代に西武の主砲だったキヨとは何度も戦った。投手コーチの私は選手に、これでもかと内角を攻めさせた。その打席、その試合、そのシーズンを考え、少しでも打撃を崩してやろうと、執拗にフトコロをえぐったが、キヨはキヨで逃げることなくバットを振ってきた。振り返っても、三振を奪った記憶がない。あるのは手痛い一発を食らったシーンばかり。投手とはそういうもので、その迫力あるスイングの残像が失投を誘発させるのだ。