スポーツジャーナリスト谷口源太郎氏「五輪とその周辺はブルシット・ジョブの巣窟です」
JOC内からも30年札幌招致「取り下げるべき」
──東京五輪は逮捕者まで出し、「五輪汚職」の文字がメディアに躍っている。にもかかわらず、2030年冬季五輪の札幌招致に動き出しています。
とんでもないことです。JOC(日本オリンピック委員会)関係者の中からも、「今すぐ札幌招致を取り下げるべきだ」という声が出始めています。しかし、「今、JOCにできることはなにか。高橋逮捕を受け、組織委員会の一員だった責任を果たすべく、独自に東京五輪で起きた問題、疑惑を第三者委員会をつくるなどして調査すべきだ」との意見を持つ理事はひとりだけだといいます。
──JOCの山下泰裕会長は「2030北海道・札幌招致に関して影響はできるだけ出ないように。これまで以上に関係者が力を合わせて全力を尽くしていくしかない」とのんきなことを言っていた。
山下会長はリーダーシップがまったくなく、一から組織を組み直さないと、JOCは本当におしまいになってしまいます。東京五輪の疑惑が広がる中で、JOCも後押しして、なんの理由、根拠も明らかにされないままの札幌五輪招致は決して、国民・道民の理解は得られませんよ。即刻、招致を中止するべきです。
(聞き手=森本啓士/日刊ゲンダイ)
▽たにぐち・げんたろう 1938年、鳥取県生まれ。週刊誌記者を経て85年にスポーツジャーナリストとして独立。「スポーツを殺すもの」「オリンピックの終わりの始まり」など著書多数。