カブス鈴木誠也アクシデントで侍J栗山構想の課題一挙露呈 壮行試合での采配にも数々の疑問
個々に合ったハンドリングが必要なのに…
連勝した25、26日のソフトバンクとの壮行試合では攻撃、守備面でも課題が露呈した。2試合ともに4番に入った村上宗隆(ヤクルト)は計7打席で4打数無安打(3四球)。「いろいろメディアに言われることはあるが、そこにとらわれず。やることは変わらない」とは試合後の本人。
同じヤクルトの山田哲人も2試合続けて1番で起用され、6打数無安打4三振1四球。「投手のボールに対して距離が取れてきたのかなと。思い通りではないですが、近づいているなという感覚はあった」と前を向いたとはいえ、球界OBは、「栗山監督は村上や山田のように状態が上がらない選手が実戦感覚を取り戻すためにも、1打席でも多く立たせるべきでした」とこう続ける。
「宮崎合宿は鈴木、吉田、ヌートバーの3人のメジャー外野手が不在。試合を行うため、巨人の松原ら3人の外野手をサポートメンバーとして招集した。すると栗山監督は25日に松原に5打席、26日は西川(西武)にも4打席立たせた。松原はWBCで延長十回から導入されるタイブレーク練習の先頭打者としてバントも決めた。本番まで残り10日。練習試合は6試合しかない。栗山監督は『実戦が少ない』と話していたのだから、途中交代した選手でも再び試合に出すなど、なおさら本メンバーに多くの打席を与えるべきでした」
2試合で計7打席に立った中村(ヤクルト)が「試合を経験して、きょうはボールの見え方が全然違いました」と話した一方で、2試合で4打席だった大城(巨人)は「もう少し実戦勘を上げていければ。打撃練習からもう少し実戦を意識してやりたい」とした。
本番が間近に迫る中、野手は誰しも1打席でも多く打席に立ちたいが、本番前の練習試合は6試合のみ。選手たちは「試合前、首脳陣から試合の打席数について『どうする?』と尋ねられましたが、お任せしました。限られた試合数の中でやっているので、わがままは言えません」と言った。選手たちはチームのために自分を押し殺している以上、首脳陣が選手の状態を見極め、個々に合ったハンドリングをする必要があるのだ。
「守備もしかり。たとえば牧(DeNA)は首脳陣に言われて三塁守備をやる準備をしているが、この2試合は全くその機会がなかった。試合中にケガ人が出るなど、緊急事態を想定したものだとしても、なおさら、実戦で試しておくべきでしょう」(前出のOB)
栗山監督はこの日、打線について「信じて前に進むだけ。全く心配していない」と話したが、侍ジャパンの成否はやはり指揮官次第である。