いまも生きている父・徹さんの教えとTJ手術後のスケールアップ

公開日: 更新日:

コンパクトなテイクバックの投球フォームに

 打撃に関してはメジャー移籍後も比較的順調だった。1年目のオープン戦で打率.125とドツボにはまり、いてもたってもいられずに同じアリゾナでキャンプを送るイチローのもとを訪ねたことくらい。動く速球に対応するため、右足をほとんど上げない打撃フォームに変えて対応した。

 苦労したのは投手としてだった。

 日本ハム時代に日本人選手最速となる165キロをマークしたように球は速い。しかし、制球がいまひとつだった。メジャー1年目の18年は序盤に100マイル(161キロ)をマークしたものの、6月に右肘内側側副靱帯を損傷して故障者リスト入り。その後、新たな損傷も見つかり、10月にトミー・ジョン手術を受けた。MLB初の「10登板、20本塁打、10盗塁」をマークして、かのベーブ・ルース以来となる二刀流選手として新人王を獲得したとはいえ、翌19年は投手として全休。20年も2試合に登板しただけだった。

 が、投手として復帰して以降、投球フォームは劇的に変化した。テイクバックをかなりコンパクトにしたのは、手術した右肘に負担のかからない投げ方を模索したからだろう。右肘に移植した靱帯が年を追うごとに馴染むようになったことに加え、これまで以上にさまざまなトレーニングを積んだことによって制球も改善されていく。一昨年は130回3分の1で54だった与四死球数が、昨年は166回で46に減った。

■球速と制球を両立

 投手にとって、球速と制球は相いれない関係にあるといわれる。力いっぱい速い球を投げようと思えば力むし、フォームは乱れる。フォームに狂いが生じれば、制球も乱れるのが道理だ。けれども、大谷はそうは考えない。かつて球速とコントロールのどちらを優先するかという本紙の質問に、本人はこう答えている。

「僕は表裏一体だと思うんです。正しいフィジカルで、正しい投げ方をすれば、球速も上がるし、コントロールも良くなるし、スタミナ面でもプラスだと」

 その言葉通り、球速と制球を両立させたわけだから、ある意味、球界の常識を覆したことになる。

 新たな球種のツーシームを手の内に入れた昨年8月以降は、まさに敵なしといったあんばい。8月の防御率は2.20、9月は1.18。ストレート、フォーク、カーブ、スライダーと4種類だった球種に、シュートしながら落ちるツーシームが加わって投球の引き出しは増えた。ツーシームは最速162キロ、縦に横に大きく変化する。

 46本塁打でタイトルを争った一昨年はア・リーグMVP、投げて15勝(9敗)、打って34本塁打の昨季はメジャーで初めて投打とも規定に到達。投打ともメジャーでトップクラスの成績を残す唯一無二の存在になった。

【連載】大谷翔平 二刀流の源流を辿って見えた世界一への渇望

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  3. 3

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  4. 4

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  1. 6

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  2. 7

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  3. 8

    巨人・坂本勇人は「最悪の状態」…他球団からも心配される深刻打撃不振の哀れ

  4. 9

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  5. 10

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  3. 3

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  4. 4

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  5. 5

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  1. 6

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    今田美桜「あんぱん」に潜む危険な兆候…「花咲舞が黙ってない」の苦い教訓は生かされるか?

  4. 9

    “下半身醜聞”川﨑春花の「復帰戦」にスポンサーはノーサンキュー? 開幕からナゾの4大会連続欠場

  5. 10

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり