反則適用第1号となった若羽黒の言い分「まげを引っ張っちゃいけないなんて、知ってますよ」

公開日: 更新日:

 1955年5月、大日本相撲協会(当時)は公認相撲規則を制定し、協会組織に関する規定をはじめ土俵規定、力士規定、決まり手などを定めた。

 審判規定には禁じ手として「握り拳で殴ること」「目または水月(みぞおち)等の急所を突くこと」など8項目を挙げ、負けとすることが明記された。「頭髪を故意につかむこと」も含まれている。

 さっそく同年秋場所で適用第1号があった。2日目の若羽黒-出羽ノ花戦で若羽黒の右手が相手のまげに入ったまま、抜かずにはたき込んだとみて、反則負けとされた。まげつかみはそれまで取り直しか注意だった。

 規定には「故意に」とある。当時の記事によると、若羽黒は支度部屋で不満をあらわにした。

「反則なんてこんなばかなことがあるか。まげを引っ張っちゃいけないなんて、初っ切りじゃあるまいし、そのくらい知ってますよ」

 初っ切りとは技や禁じ手を実演する巡業や花相撲の演目で、コントふうになってからは、まげを思い切り引っ張って笑わせる場面がおなじみだ。

 故意につかんで抜けなければ、相手の倒れ方によっては自分の指も危ない。異端児といわれた若羽黒だけに、「あれはわざとだ」との声もあったというが、たとえそうでも認めないだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇