大谷の胸中は…エンゼルス「主力級6人の放出」の大迷走、カネも若手有望株もドブに捨てた
歓心を買うどころか逆効果
今回のウエーバーにかけた6人がすべて売れれば約10億円が浮くとはいえ、8月のトレードで獲得した選手には8月分の給料、開幕から使っているレンフローやムーアらには年俸の大半を払う必要がある。結果として彼らが勝利に結び付かなかったのだから、言ってみれば“死に金”。ウエーバーはトレードと違うから、代わりに選手をもらえるわけではない。アホみたいな大金をドブに捨てて、なおかつジオリトやロペスを獲得する代わりに、ただでさえ枯渇している若手有望株を差し出したことになる。
そもそもエンゼルスがシーズン中に「買い」に回ったのは、オフにFAになる大谷翔平(29)を来季以降もキープするためといわれる。「このチームで勝ちたい」とプレーオフ進出が悲願の大谷の歓心を買うのが目的だったらしいが、だとすれば、カネも若手も放り出した末の低迷はむしろ逆効果ではないか。
ウエーバーにかけた選手が売れなければぜいたく税の対象になるような補強をしながら結果が出ないのは、要するにカネの使い方、編成の方法が間違っているから。20年オフに就任したペリー・ミナシアンGM(43)の責任は大きいが、「エンゼルスの編成がメチャクチャなのは、GMひとりの責任じゃありません」と特派員のひとりがこう続ける。
「アーティ・モレノ・オーナー(77)ですよ。昨年のトレード期限を前に、ミナシアンGMは大谷を放出しようと試みた。すでにプレーオフ進出は絶望的。FAを取得するまで1年半ある大谷が最も高く売れるタイミングで、見返りに4、5人の若手有望株を獲得するチャンスだったからです。相手はメッツともドジャースともヤンキースとも言われ、トレードは成立寸前まで行ったのですが、モレノ・オーナーがクビを縦に振らなかった。大谷を手放せば球団の価値が下がると考えたからです。2002年に球団史上唯一のワールドシリーズ制覇を成し遂げたソーシア監督を19年間にわたって寵愛、結果が出なければGMに責任を取らせ、次々とクビにしてきた。カネは出すが、口も出す人です。打ち勝つ野球が理想で、これまでプホルス、レンドンといった盛りの過ぎた強打者と大型契約を結んでは、彼らは不良債権化しています」
■元凶はオーナー
ミナシアンGMは先日、大谷の右肘靱帯損傷に関して、「検査を受ける提案をしたが、大谷と代理人が断った」と発言。責任逃れの言い訳と米メディアにたたかれた。裏事情を明かすことについてはさすがに大谷サイドも事前に承知していたのだろうが、自ら公にすべきことだったのかという疑問は確かに残る。
編成責任者に能力がないなら、代わりのGMを連れてくれば済む。しかし、元凶がオーナーとなると、コトは簡単ではない。エンゼルスの迷走ぶりには、大谷もあきれているのではないか。