安楽事件が日本球界を直撃! 悪しき体育会系気質に高校生ソッポ、メジャー志向が急加速
花巻東・佐々木麟太郎の米留学
ただでさえ、近年の高校生は日本球界に無関心な者が少なくない。今夏、日刊ゲンダイが甲子園出場校のキャプテン十数人に「プロ野球の試合を見ている?興味はある?」と質問したところ、普段から見ていると答えたのはわずか3人。「12球団の名前を言えそうにありません」と頭をかいたり、セ・パの区別がつかない選手もいた。
一部地域を除けば、地上波での試合中継は消えて久しく、テレビやスポーツ紙などメディアの扱いも大谷を中心にメジャーが圧倒的。プロ野球に関心を抱かなくなるのも無理はない。
そこにもってきて、今年のドラフトの目玉と言われていた佐々木麟太郎(花巻東高)が、米国の大学への進学を決断。日本のプロ野球を経由せず、メジャーに挑戦する道を踏み出した。過去にもアマ球界から直接メジャーに挑戦する選手はいたものの、ドラ1クラスの高校生が米留学するのは初めてのケースだ。
パ球団のスカウトは「今の高校生はメジャー志望であることを隠そうともしませんから」と、こう話す。
「入団会見で臆することなく、『将来の夢はメジャーです』と公言する選手は明らかに増えた。もちろん、麟太郎のようにプロ野球を拒否して米留学、あるいは直接メジャー挑戦という選手が続出するとは限らない。それだけハードルは高いですからね。それでも、麟太郎が新たな道を示したことにより、後に続く選手が出てくる可能性は十分ある。それがドラフト上位候補の高校生だったら、プロ野球界が被る損失は計り知れない」
日本学生野球協会が数カ月置きに処分を発表しているように、高校でのいじめ、体罰、暴言などの類いは後を絶たない。卒業してようやくそんな世界から抜け出せると思っている選手にとって、安楽問題は決して対岸の火事ではない。プロ野球界全体が岐路に立たされているのだ。