１９４６年、長野・阿智村生まれ。塚原学園天竜高（現松川高）、大東文化大、河合楽器を経て、７１年ドラフト１１位で阪神入団。７６年に太平洋クラブ（現西武）に移籍。７８年クラウンライターが西武鉄道へ身売りするタイミングで引退、スカウトに転身。２００６年までの２８年間、関西と北信越の一部を担当。担当選手は清原和博、垣内哲也、和田一浩、松井稼頭央、中島宏之、栗山巧、中村剛也、炭谷銀仁朗ら逸材多数。現在は長野・飯田ボーイズの監督を務める。
KKドラフトの顛末…巨人スカウトに聞こえるように「ウチは清原と桑田を両方取る」と口にした
これは巨人に対する牽制、陽動作戦の意味合いもあった。
「清原を1位指名することは以前から決まっていました。当時の西武は投手陣が揃っていましたからね」という鈴木は、巨人のスカウトにあえて聞こえるように、「ウチは清原と桑田、両方取りにいくよ」と話したこともあった。
巨人はドラフト会議前日、王貞治監督が清原の1位指名を公言した。しかし、当時はプロ志望届の存在はなく、特定の球団との“密約”もウワサされた。桑田が早大へ進学するのかどうか、真意を測りかねる球団も少なくなかった。
鈴木は、桑田と巨人の間で内々に話ができていると想定していた。
「競合必至の清原を取れるかどうかは運次第ですけど、桑田はほとんどの球団が回避するだろうと。ただ、巨人は清原を1位指名できたら、2位で桑田を取りにいく可能性があった。そこでウチが『両方欲しい』と公言したことで巨人は、西武が桑田を1位指名することを考えざるを得なかったはずで、かなり焦ったと思う。まして当時の西武には、寝業師といわれた根本さん（陸夫=管理部長）がいましたからね」
