横綱曙も一大勢力に苦しんだ…伊勢ケ浜部屋はかつての二子山部屋のようになれるのか
■合併でかえってミゾが生まれることも
ただし、それなりの苦労もある。
ある角界OBは「私も現役時代、合併を経験した」とこう話す。
「相撲部屋のしきたりやルールは、部屋ごとに違う。合併の場合、受け入れた部屋側に合わせなきゃいけない。新しく来た力士たちは戸惑うことも多く、かといって、受け入れた側も『ウチではこうなってんだよ!』と頭ごなしにやれば、双方に溝が生まれてしまい、より馴染めなくなる。相撲部屋にも厳しい部屋、緩い部屋があり、関取がいない部屋だと、付け人の仕事がよくわからない者もいる。以前、春日野親方(元関脇栃乃和歌)は『双方の歩み寄りが大事。ウチも合併があったけど、力士たちがみんな偉かっただけだよ』なんて話していました」
春日野部屋は12年に田子ノ浦部屋、13年は二所ノ関部屋、三保ヶ関部屋と、閉鎖した部屋の力士を立て続けに受け入れた経験がある。
「今回は人数が多すぎるのが心配ですね。力士だけで20人以上いる伊勢ケ浜部屋に、力士や裏方を合わせて20人前後の宮城野部屋がいっぺんに引っ越したわけですから。地下のトレーニングルームも力士が寝起きする部屋にするなど、様々な面で生活に支障が出かねない。過去の二子山部屋も、貴乃花が部屋を引き継ぐまで、合併後に関取に昇進したのは1人だけだった」
まして、久々に自ら回しをつけて弟子に稽古をつけている宮城野親方(元横綱白鵬)と、照ノ富士の関係は水と油。まさに呉越同舟で、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が何とかしない限り、部屋全体が険悪なムードとなる恐れもある。