《井口資仁の巻》ルーキーイヤーで雁の巣球場の最多観客動員記録を作ったスター性
球団も相当な期待をかけており、それが顕著だったのがドラフト直後の秋季キャンプです。守備練習を見ると、それまで遊撃を守っていた選手がみんな、二塁をやらされていた。しかも全員ふてくされている。
「なんで?」
とスタッフに聞くと、博多弁で「ドラフトで井口とったけん」。いくらドラ1といえど、ひとりのアマチュア選手をそこまでの厚遇で受け入れるのは異例も異例でした。
性格は人当たりが良く、紳士的。オールスターに出場した時は東京の叙々苑で焼き肉をおごってもらったこともある。
そういえば酒の席で、「田尻さんってコーチとか興味ないんですか?」と言われたことがあります。僕は現役を2年で引退。そんなヤツが指導しても選手は言うことを聞かないだろうと思っていましたが、井口は「そうですか? コーチはコーチですし、僕は経歴なんて気にしませんけど……。とにかく、考えてみてもいいんじゃないですか」となぜか推してくる(笑)。
僕は南海に入団する時にコーチの経歴などは全部調べましたが、今の選手はそう考えるのか、と妙に感心しました。
そんな井口が若手時代から注目していたのが、ホークスの元気印、川崎宗則です。