《杉内俊哉の巻》「熱い男」一度だけ見せた弱気「お願いだから点を取ってください」
杉内俊哉
現在、巨人で投手チーフコーチを務める杉内俊哉(43)の性格をひと言で言えば、「熱い男」です。
入団3年目の2004年、KOされた自身の不甲斐なさに怒り、ベンチを殴って両手の小指を骨折したのは有名な話です。福岡ドーム(現みずほペイペイドーム福岡)の第2ロッカールームは喫煙スペースにもなっていたのですが、杉内が打たれて降板すると、そこから「ガシャーン!」と大きな音が聞こえてくる。怒りで灰皿を蹴飛ばし、あたり一面に吸い殻や灰が散乱。それを掃除するのも僕ら裏方の役目なんです。
杉内に限らず、活躍する選手、特に昔かたぎの性格ほど、そうした面は往々にしてある。後輩の広報は「何があったんですか?」と驚いていましたが、まあそういうこともあるよ、と。
勝って泣いたのが西武と9月末まで優勝争いを繰り広げた10年です。この年は最終的にゲーム差なしの勝率2厘差で優勝。一戦も負けられない中、杉内は札幌で日本ハムのダルビッシュ(現パドレス)と投げ合い、1-0の完封勝利。杉内は感極まり、「よかった……ヤフードームで勝ってつないできて、勝ててよかった……」と、ボロボロ涙を流していました。優勝を決めたのは翌日の試合だったので、杉内も感無量だったはずです。