富士大・佐藤柳之介 投球フォームと球道の高い再現性、ミット位置に決まる「コントロール率」の精緻
佐藤柳之介(富士大/投手・左投左打179センチ・86キロ/東陵高)
去年の春ごろまでは、投げてみないとわからない投手だった。
左腕にしか投げられないホームベース上を斜めに切れ込んでくる速球の軌道は鋭かったし、タテの落差も帯びたスライダーに、チェンジアップ、フォーク……持ち球の威力は全国レベルだったが、1球のストライク、ボールの判定や投げ損じから急に制球を乱したり、前半は快投していても、後半六回、七回あたりでへばりがきて球威を落としたり、どこか頼りなげな投手だった。
「このままじゃダメだっていうことで、すべてゼロに消却して、イチから組み立て直しました」
就任2年目の富士大・安田慎太郎監督は、その前のコーチ時代から佐藤投手の足どりを見守ってきた。
「練習メニューもある程度こちらから提示して、ノルマを課す練習も増やして、徹底的に鍛え直しました」
鉄は熱いうちに打て。
伸び盛りの二十歳前後の時期に、強いられる練習も豊富にこなして、特に安定感と持久力の面で、劇的にレベルアップが見られたという。