《千賀滉大の巻》育成から這い上がった右腕が持つ強烈な“自己”…何度も聞いた「それは違います」
広報は選手とメディア、ファンをつなぐ仕事です。自主トレ公開日は報道陣が集まるのに、投手の千賀がボールすら握らないのでは、まったく絵にならない。当然、記者たちの疑問は、現場にいる僕に向けられます。その時は自主トレに参加していた他の選手の話題などでお茶を濁しましたが、「え? 千賀投げないの? なんで?」と困惑する記者たちの横で、肩身が狭かったものです(笑)。
野球においては研究熱心で、常に「より良いものを」とフォーム改造でも試行錯誤を繰り返していました。2017年に出場したWBCで、マウンドの影響なのか、慣れない環境で投げたからなのか、フォームがグチャグチャになり、2年がかりで新たなものを作り上げたこともある。もっとも、フォームを崩しても2年連続13勝ですから、レベルが違う。
国際試合といえば、21年の東京五輪。筑後の二軍施設に来て、獲得したメダルを机に置いて「みんな、触ったりしていいですよ」と太っ腹なところを見せていました。僕も小川GM補佐や山口寮長らと、首から金メダルをかけて写真を撮った(笑)。「五輪はみんなを代表して行っただけ。みんなの力があったからメダルを獲得できた」というのが千賀の思いだったんです。
そんな千賀と共に活躍したのが、「熱男」こと松田宣浩です。