ソフトB育成1位古川遼が異例の入団辞退、その舞台裏と波紋…高校生の「育成拒否」が続出するか

公開日: 更新日:

育成指名された高校生の入団辞退、拒否が増える可能性も

 古川は11月上旬、12球団屈指と言われるソフトバンクのファーム施設(福岡・筑後)を訪問。「高校生として喉から手が出るくらい欲しい環境だった」と魅力を感じたというが……。

「古川が施設を見学したのは入団辞退を申し入れる前。実際にソフトバンクという『巨大戦艦』を目の当たりにし、我に返ったのでしょう。四軍制を敷くソフトは、今年の育成ドラフトで12球団最多の13人を指名するなど、24年度は50人もの育成選手を抱えた。千賀滉大(メッツ)や甲斐拓也など、育成から這いがった選手はいるにはいるが、今の古川が一軍で活躍するためには、何十人という投手を蹴落とさないといけない。図らずも先日、内野手のリチャードが球団に対し、出場機会が恵まれない現状から移籍を志願した。今オフも、多くの育成選手が他球団に流れている。育成選手が少ない球団ならまだしも、ソフトバンクで育成から一軍の主力を張るためには、相当な覚悟が必要です」(同)

 古川は今後、大学進学を目指すという。日本学園中、高が26年4月から明大世田谷中、高としてリニューアルされることから、一部では「明大進学説」も浮上しているが、さる大学球界関係者は、「明大はすでに来春入学者が確定しています。いくら日本学園が付属校になるといっても簡単には入れないでしょう。でも、古川ほどの投手なら、今からでも引く手あまたになるかもしれない」と指摘する。

 その一方で、「育成指名した高校生の入団辞退、拒否が増えないか、心配です」と言うのは、某球団のスカウトだ。

「プロに一縷の望みをかける大学生や社会人、独立リーガーはともかく、成長途上でプロ以外の選択肢が多い高校生は、古川の決断を見て育成契約で入団することに及び腰になるかもしれません。親の収入の事情でプロ入りを選択するケースはありますが、育成指名する高校生の多くは、大学や社会人で経験を積めば、さらなる成長が見込めます。高卒1年目の育成選手の年俸は基本的に240万円と格安で、支度金も200万円~350万円程度。用具代などを差し引けば、手取りは雀の涙です。中には、親から仕送りを貰っている選手も中にはいるほど。しかも、契約期間は3年で、2年の契約延長をしても最長5年。多くの選手は一軍の舞台に立つことなく、ユニホームを脱いでいます。ならば、古川のように、大学で経験を積んでから…と考えるのは、仕方ないことですから」

 古川の入団辞退は、アマ球界にも波紋を広げそうだ。

  ◇  ◇  ◇

 一部のスカウトからは「高校生を指名するのが怖くなった」「育成ならよほどの事情がなければ進学か就職すべき」という声も聞かれる。どうやら、選手とスカウトの関係は入団直後から一層、密になっていくのも関係しているようだ。いったいどういうことか。スカウトが漏らした本音と苦悩とは。

●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    カブス鈴木誠也が電撃移籍秒読みか…《条件付きで了承するのでは》と関係者

  2. 2

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 3

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  4. 4

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  5. 5

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  2. 7

    新庄監督のガマンが日本ハムの命運握る…昨季の快進撃呼んだ「コーチに采配丸投げ」継続中

  3. 8

    ソフトB「二軍の帝王」を悩ます“王の庇護” 自己評価の高さとパワー、潜在能力は一級品も...

  4. 9

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  5. 10

    「負けろ」と願った自分を恥じたほどチームは “打倒キューバ” で一丸、完全燃焼できた

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  4. 4

    広末涼子は免許証不所持で事故?→看護師暴行で芸能活動自粛…そのときW不倫騒動の鳥羽周作氏は

  5. 5

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  1. 6

    【い】井上忠夫(いのうえ・ただお)

  2. 7

    広末涼子“密着番組”を放送したフジテレビの間の悪さ…《怖いものなし》の制作姿勢に厳しい声 

  3. 8

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  4. 9

    大阪万博は開幕直前でも課題山積なのに危機感ゼロ!「赤字は心配ない」豪語に漂う超楽観主義

  5. 10

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育