公約に「平和」という言葉を19回も使ったラパルティアン、一度も使っていないサラマンチ
最も多く「平和」という言葉を使っているのは、ラパルティアン(19回)であった。「世界に真の平和の象徴があるとすれば、それはオリンピック精神です」と言ったグテレス国連事務総長の言葉を引用し、「世界中で多くの戦争が災いを広げる今、政治的にならずに平和を推進し構築し続けなければならない」と強調する。
次点はヨルダンの王子、ファイサル(12回)。自国が中東和平に尽力してきた伝統を引き継ぎ、スポーツを通じた平和構築に焦点を当てた「平和のための世代」というNGOを10年にわたり自ら運営し、紛争後のコミュニティーにポジティブな影響を与えている実績を誇る。
対照的に40ページ以上もあるマニフェストに一言も「平和」を登場させないのがサマランチ。しかし、彼はスポーツの「普遍」性という言葉に「平和」への道を求めているようだ。あらゆる差別を超えて人類が参集する五輪の「普遍」的価値を説く。パリ五輪ではロシアとベラルーシの選手は「中立」であれば参加できたが、「本来ならば全ての選手が参加すべき」が彼の本音とみる。父親である第7代会長サマランチは駐ソ連スペイン大使であった。