「リオとタケル」中村安希氏
本書からは、日米のセクシュアルマイノリティーに対する周囲の態度の違いも浮かび上がってくる。
「家族にゲイがいる場合、アメリカでは受け入れようとする傾向が見られますが、日本では世間に隠そうとしますよね。世間という目が持つ特殊性と息苦しさはアメリカの比ではありません」
著者は20代後半の頃、女性に強く引かれたことがあった。
「2人を見ていて、大事なのは異性愛か同性愛かではなく、誰が好きかということだと気が付きました。幸せは形やスペックじゃなくて、結局は個人。本書から、自分なりに幸せに生きるヒントをつかみ取ってもらえたらうれしいですね」
(集英社 1500円)
▽なかむら・あき 1979年、京都市生まれ。カリフォルニア大学アーバイン校演劇学科卒。09年「インパラの朝」で開高健ノンフィクション賞受賞。著書に「Beフラット」「愛と憎しみの豚」など。