「がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし」西尾正道著
男性は約55%、女性は45%ががんにかかる現代だが、5年生存率は40年間で平均10%も上がっており、正しい治療を行えば治る病気となっている。本書では、放射線治療の第一人者として40年間がんと向き合ってきた著者が、体に負担の少ない放射線治療の最前線を明らかにしている。
前立腺がんでは手術とホルモン療法が主体だったが、手術と同等の成績が得られ、かつ性機能の温存率も高い放射線治療に注目が集まっている。温存率は手術で20~30%であるのに対し、放射線は70~80%と高く、治療後のQOL(生活の質)に大きな違いがあることが分かる。
他にも、高齢者に対する放射線治療の意義や、TPPで変わるがん治療の現場についても取り上げていく。
(旬報社 1400円)