「誰がタブーをつくるのか?」永江朗氏
国家権力によってタブーとなるものの代表には、わいせつ物がある。11年7月の改正都条例では、マンガやアニメが狙い撃ちにされた。
「マンガのわいせつ表現は、以前からタブーの対象となることが多かったんですが、“子どもを守るために禁止しましょう!”と叫ばれると同意せざるを得ない空気になります。しかし、ただ“見せたくない”という感情を正当化するために、見せないとどんな良いことがあり、その表現の何が悪いのかという根本が曖昧なままタブーとなるのはいかがなものでしょうか」
人間がいて文化がある限り、タブーはなくならないと著者。タブーが存在することから目を背けず、なぜそれがタブーなのかを考え続け、あらゆることを疑って見る目を持つことが大切だと説いている。(河出書房新社 1400円)
▽ながえ・あきら 1958年、北海道生まれ。7年間の書店勤務ののち、雑誌「宝島」などの編集を経てフリーライターに。「広辞苑の中の掘り出し日本語」「批評の事情」「インタビュー術!」など著書多数。