「つちくれさん」仁木英之氏
「現職だとなかなか管轄の地域から離れられないので、退職した刑事にしました。何十年も勤めあげた刑事であれば、別の土地へ行っても捜査のようなことはできるだろうと。そういうセカンドライフを生きる男性のヒーローが好きなんですが、現実に老境に入った人のヒーローがいるのかと考えたら、時代小説でも主人公は壮年の人が多いし、〈水戸黄門〉は主役というよりご本尊みたいな感じだし……(笑い)。だから、実際に動いて事件を解決する老いた主人公が遺跡の現場を転々と回るようなシリーズにできたら、と思います。ドラマにするなら、福沢は平泉成さん、瀬山は、最近、三枚目も演じている草刈正雄さんがいいですね」
著者は現在、〈古墳銀座〉の奈良在住のため、遺跡の現場説明会などにもよく足を運ぶという。
「奈良だけでなく、日本全国津々浦々どこでも平たい所は掘れば集落の遺跡があります。シニア世代は名所史跡めぐりが好きですが、ぜひ発掘も体験することを勧めたいですね」
(朝日新聞出版 1500円+税)
▽にき・ひでゆき 1973年、大阪府生まれ。信州大学卒業。2006年、「夕陽の梨-五代英雄伝」で歴史群像大賞最優秀賞、「僕僕先生」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞して作家デビュー。著書に「千里伝」「くるすの残光」シリーズなど。