「真紅の人」蒲原二郎著

公開日: 更新日:

 摂津国の名刹四天王寺に近い鳶田の貧人集落に暮らす少年・佐助は、幼い頃に母親をはじめ一族を伯父に皆殺しにされるが、彼ひとり命からがら生き延び、以来各地を転々としてこの地にたどり着いたのだった。

 慶長19(1614)年10月、夜更けの街道で3人の男が老人を襲っているのを目にした佐助は、持ち前の正義感から老人を助け出す。実はこの老人、真田信繁(幸村)の家臣・掛居久蔵で、折しも徳川方を迎え撃つべく大坂城に入った主君に合流する途次だった。

 仇敵の伯父が徳川方にいることから、仇討ちしようと大坂入りを企てていた佐助は、渡りに船とばかり、親友の権太と佐助に読み書きを教えてくれた僧侶・隆海と共に真田家の家臣として大坂の陣に参加することに。

 劣勢の豊臣方にあって創意と奇策を駆使して一矢を報いようとする真田家主従、秘められた過去を胸に我が子のように佐助を見守る隆海、そして隠された出自を持つ佐助……。それぞれの思いを抱きながら大坂の陣は終局へ向かっていく。戦国を舞台にくり広げられる新機軸の貴種流離譚。(KADOKAWA 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」