書き下ろしミステリー編
「触法少女」ヒキタクニオ著
小学4年のときに母親に捨てられ児童養護施設で育った中学2年の九子は、担任の三塚や同級生の西野の弱みを握り、下僕として支配する。ある日、刑務所に入っていると思っていた母親の瑠美子が起訴猶予になっていたと知り、彼女の居場所を捜し当てる。訪ねてみると、瑠美子は何の屈託もなく九子を自宅に招き入れた。瑠美子から受けた虐待の記憶が消えない九子は、瑠美子が明かした自分の名前の由来を聞き、殺意を抱く。
施設仲間で先輩の華蓮と共に周到に計画を練り、罪を犯しても罰せられない14歳の誕生日が来る前に計画を実行に移そうと準備を進める。
九子と、事件後に捜査を担当する刑事の双方の視点から描かれる息詰まる完全犯罪ミステリー。(徳間書店 680円+税)