なぜ、企業は労働者を酷使するのか
資本の論理に振り回されるようになった日本の未来を明るくするためには、どうしたらよいのか。著者の主張は、資本に政府の規制をかけ、日本的福祉社会をつくることだという。私は著者と意見が一緒ではないが、ここに書かれていることの9割に同意できる。そして、この本を過半の国民が読んでくれれば、日本の経済社会は、正しい方向に進路を転換できるだろう。
ただ、残念ながら、そうはならないと思う。いまの出版界では、恐怖をあおったり、実利を示したり、センセーションがなければ売れないからだ。2400円という定価は、出版社自身が低部数を予測していることを意味する。もちろん、私は、自分の予測が外れることを心から願っている。★★★(選者・森永卓郎)